かれこれ二年以上、毎月替わるメニューを書いている
店がある。池尻大橋にある「おわん」というお店。
流行系の創作和食などではなく、本格的和食。
BGMは店内に流れ落ちる水の音。
季節の花が大量に活けられている。
大人が本当に落ち着ける空間。
現在書店に並んでいる「グルメキャリー」という
飲食の求人誌の巻頭特集でそこのオーナーシェフの
インタビューが見開きで載っている。
そのインタビューの中で少し俺のことにも触れており、
氏曰く「メニューも作品の一部」と思っていてくれている。
店内のメニューはすべて一枚一枚手書きで
店頭にはメニューを置かない。作品を野ざらしにすること
のないようにとの配慮かららしい。
ここのオーナーとの出会いも偶然と必然の織り成し。
まだ表参道の路上で書いていたころ偶然通りかかった
らしく個人的に一筆書いた。それから何年かして
ARBの初代ギタリストの一郎さんがこの「おわん」で
食事していたとき自分の話になり「その人、何年か前に
表参道で書いてもらった」とのオーナーの言葉から
話が盛り上がり、俺も合流、その後毎月メニューを
書くようになった。
俺も一所懸命書かせていただいている。
そしてオーナーもそんな風に大事に思っていただいている。
今は月末にメニューの内容原稿がファックスで送られてきて
電話で打ち合わせして月頭に納品。
お互い多くの言葉を交わすわけでも、飲みいくわけでもない。
でももうニ年以上、信頼関係は続いている。
職人同士の理解や信頼だとしたらそれもまた嬉しい。