和食のカウンターで呑む時間が好きになった。ひとり以上、三人未満。
多くなくとも手作りの肴があって、
手渡しで料理や酒が運ばれ、
出過ぎない、引きすぎない、店員との会話、
聴こえるかどうかのBGM(音はなくてもいい)。
そんな場所がいい。
見知らぬ店、静かな灯火に引き込まれ、
カウンターで麦酒を呷る。
照れくささをカウンターっていう景色で隠して
夜に吸い込まれそうな静かな声で言葉を探す。
大声で笑うこともなければ、 哀哭もない。
カウンターで日本酒を嘗める。
日常の中に自分だけがたどり着ける、ささやかで
密かな楽しみのひとつやふたつ、持っておいたほうがいい。
こういうのを世間ではオヤジ化と言うのか。
それもよかろう。