日曜日の午後。
和食の名店「せお」さんでランチのコース。
それまでが粥やヨーグルト生活だったからね、
いつも以上に繊細な季節の旨みが細胞まで広がってゆく。
20代の頃に住んでいたマンションの一階が名の知れた和食店だった。
玄関に続くところに野菜や干物がたくさんあったんだけど、
当時は毎晩ゼストやボエムで肉やピザやパスタばかり食べいたので
和食には見向きもしなかった。
時を経て、食の好みは変わったけど自分で
稼ぐようになってから変わらず思うのは
「食事は腹を満たすものじゃなくて、心を満たすもの」。
一時期は給料のほとんどが人との飲み食いに消えた。
それでも仲間や大切な人と過ごす時間が欲しかった。
心理分析はやめよう。
煙モクモクの小さな焼鳥屋でも、夜景の美しい高級店でもいい。
その一杯がなぜ美味いのか。
それは目の前にいるその人のおかげだ。
毎回そう思って先ず一杯目のビールを口にする。
素足つきで。