書画家 高野こうじ 公式blog

書道、アートの作品を中心に日々感じたことを綴る

愚かゆえ・・・。

時間は平等に流れてゆく。だから悔いなきようにと思う。それでも日々の仕事や快楽や惰性や睡眠に押し込まれてふらふらと流されてゆく。時々失うことの怖さが大切なものを愛おしくさせる。

リリー・フランキーの「東京タワー」と読んでいる。ちょうど半分読んだところ。僕は昼から嗚咽を漏らし、とめどなく溢れる涙で文字が読めなくなる。この涙はどこからくるのか。文体の構築やストーリー、洞察力、表現力もあるだろう。しかしこれだけ泣けるのはこの本の中に「僕」を見いだすからだ。愚鈍で、冷たくて、臆病でそれでいて愛情にもろい自分。母親に対する切ない思い。時代背景も自分の年齢に近いのでいろんなものが自身にだぶってゆく。そして読めば読むほどやるせない気持ちになってゆく。この本の最後のページにたどり着いた時、僕はどんな感情にかられるのだろう。今はふらふらと流れないよう、愛おしいものを大切にしようと秋空を見上げて思う。