プロアスリートが現役を引退するとき、
胸に去来するのは今とデビューの頃だ、
と聞いたことがある。
創作書家のキャリアとして10年を超える時間が過ぎた。
いろいろありすぎる愉快な旅だけど、
デビューした場所は昨日のように思い出せる。
歓喜と苦悩と賞賛と屈辱にまみれた原宿表参道、
路上パフォーマンスの日々。
昨夜、その頃に知り合った「大将」と
10年ぶりに再会の杯を交わした。
新島から自分の船で伊豆の下田に向かい、
新幹線に乗って渋谷に来てくれた。
大将は新島でお土産屋を営みながら、
漁船を操り漁にも出て、バリ島にセカンドハウスを持つ
スーパーアグレッシブオヤジ。65歳。
今回は新島のTシャツのデザイン打ち合わせを兼ねた再会酒。
お互い多忙で3時間しか話せなかったけど、10年の時空を超えた。
「今」を生きる鼓動の会話。
大将は最終の新幹線で帰って行った。
船上で仮眠を取り、朝からのテレビ収録に臨む。
時間に使われるのではなく、時間を上手に使うのだ。
とりあえず夜明け過ぎに起き、
清廉な朝を纏い、筆をとった。
作業台に向かうこと、はや6時間。
しかし時間の使い方。まだまだだな。
「モヒ猿」は大好きな夕暮れです。