今朝も5時、ベランダに出て、梅雨空の向こうに
あるはずの富士に手を合わせる。
初めてオヤジに手紙を書いてみた。
いや正式には二回目だ。
高校三年の進路を決めるとき、
こうみえても推薦の大学が幾つかついた。
それでもバンドをやりたくてね、俺は音楽の道を選んだ。
熱くなれるものがそれしかなかった。
親は家業を継いでほしかったようだったけど
特に反対もされなかった、好きに生きなさいと。
高校の卒業式の日の朝に俺は感謝の気持ちを手紙に書いた。
でも、恥ずかしさと生意気さがそれを渡すことを阻んだ。
自分の情けなさを手紙と一緒にひねりつぶした。
それからも俺は俺の道を切り開いてきた。
さも自分の力でやってきたかのような顔して。
守られ、気にされ、愛されていることに触れようともせず。
自分の心で、
自分の想いで、
今こそ伝えていかなきゃ。
どうぞあなたの言葉で。