書画家 高野こうじ 公式blog

書道、アートの作品を中心に日々感じたことを綴る

空だけは変わらない

故郷の朝。

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近くの記憶は消えて、

時間は意味をなさなくなる。

最愛の人は音も灯りも消えたリビングの椅子に座り、遠き日を探すように空虚を見つめている。

そして急に若き日の小さな断片を克明にしゃべりだす。

 

生きることに必死だったひたむきさと

新芽のような活き活きとした時間は

老いてなお

煌めきだすのか。

 

無性に走り出したくなった。

 

すぐに着替え、家を飛び出す。

 

痛みを振り切ってスピードを上げるほど、

心の慟哭だけが追いついてくる。

 

息を切らし、信号で止まる。

 

空は悲しいほどに青く美しい。

 

受け入れ、抱きしめて。

 

また走り出す。