初めて海を渡り、外国に行ったのはサンフランシスコだった。
初めてのフライト、初めての海外でテンションがピークを迎えた
出発数日前、当時のバイト先のテレビからショッキングな映像、
そうロス暴動が始まったのである。間もなくサンフランシスコにも
飛び火、スムーズにものごとが運ばないのはまったくもって自分らしい。
やむなくキャンセルするも、その一ヶ月後サンフランシスコの地に
俺は降り立った。カリフォルニアの空はこれまで自分が見たことのない
色だった。まずそれにびっくりした。
ケーブルカー。移動はもっぱらこれだ。チケットの買い方がわからず
まごまごしていたらそばにいたアメリカ人が買ってくれた。
いい人たちだ、と思ったらしっかりチップを請求された。ここはアメリカ。
フィッシャーマンズワーフ。埠頭です。ここのクラムチャウダーは
最高に美味い。数年後、このクラムチャウダーを食べに再訪したほどだ。
ここのそばでアコースティックギター一本でストリートライブをやった。
書のときはニューヨークの路上から始まり、音楽のときもサンフランシスコ
の路上で歌う。そこにはリアルな反応がある。っていうか手軽だから。
いくつか歌った中にスコット・マッケンジーの「花のサンフランシスコ」
という曲がある。
There’s a whole generation,
with a new explanation
People in motion, people in motion
新しい考えを持っている
ジェネレーションが集まる
人々はじっとしていられない
まさにじっとしていられないのだ。
初めて海外の扉を開いたこの地にはその後三回ほど来ることになる。
カリフォルニアの空と空気の匂いは自分の中の特別な場所にある。