書画家 高野こうじ 公式blog

書道、アートの作品を中心に日々感じたことを綴る

職人

最近読んだ、ある小説にこんなくだりがあった。
主人公はイラストレーター。

「○○(主人公の名前)は芸術家を気取る前に
<職人>を自称し、せっせと作品を創っては
あちこちに売り込む努力を重ねてきた・・・・」

この気持ち良くわかるんだよね。
見えない誰かに作品が売られていくことより
依頼を受けて作品を描いたり、期待以上の
仕事をすることが俺は好きなのだ。
ごくたまに芸術家気取りで行動力もないくせに
いろいろ批評する輩に会うけど鬱陶しくてしかたない。

威張ることなく、媚びることなく、謙虚に黙々とやる
<職人>気質で十分ではないかと思う。
なにをガタガタ人様のすることにケチをつけようか。

俺はいわゆる商業文字といわれるロゴなどを
創ったりするのが好きだ。お店のロゴやパッケージ
デザイン、お酒のラベルその他もろもろ喜んで引き受ける。
かつては必死に売り込んでいった。今でもその
姿勢はまったく変わらない。
以前よりは先方から依頼という形で舞い込んでくる
ことも増えてきたけど「欲しい」という気持ちに応えたい
と思うのはもしかしたら自分の生い立ちに起因
しているのかもしれない。

日本全国、海外からも「欲しい」という情熱をいただいて
いろいろなロゴや作品を創らせていただいている。

どんな場所でどんなふうに使われているのかは見に
いけないけど、どこかで彩りになっていたら嬉しい。

先日愛媛に行ったときにロゴを書かせていただいた
お店に立ち寄ることができた。美しい芝が広がり、
きれいに刈り込まれた見事な松がある料亭だった。

一方通行や自己満足ではなく、お互いに共鳴できる
ものを創りつづけてゆきたい。
気持ちはスノッブな芸術家なんかじゃなく、
松を刈り込む職人や本物を提供しようと研鑚を
重ねる料理人と同じところにありたいと筆を握っている。