ずっとずっと昔、肌身離さずいつもしていた指輪。
どこへいったんだろう。
烏兎匆匆、あきれるほどの時間が流れたけど葛藤は続く。
形あるものは無惨にも姿を変え、
見えぬものは冷淡な傷を残した。
絡み合う因果応報の糸。
ほどけなくなる前に街へ出た。
こんな夜は上質で静かなる夕餉がいい。
新宿御苑の「せお」。
料理とともに時間をいただく感覚。
いただくのは美しい時間だ。
これからもいろんなものを求めるだろう。
そして大切のものも失ってゆくだろう。
祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり、
沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理を顕わす
いや、まさに。