頭の中でめまぐるしく、瞬間を切りとるように
カシャカシャとシャッター音を立てる。
その音はときに未練や焦燥やしみったれた感情を連れてくる。
いいリズムであるほどに頭か心かわからないけど、
悲しみの色をもうひとりの俺が描こうと抗いながらも
筆を進めやがる。
世界の色なんか忘れちまった。
ぶちまけられた腐った色で描きたくない。
朝からすべての窓を開け放ち、空気を入れ替えたら
黙々と書き続ける。
iTunesからコステロが森山がチバがジョーがボブが
チャボがティムが叫んでいる。(ペットの名前じゃないぞ)
作品を書き、ロンパースやTシャツを制作し、
依頼されていたロゴを何案か創る。
俺の色で、筆で、描く。純粋にひたむきになれる時間。
午後は近所のカフェで11月の学園祭の打ち合わせ。
千葉県から大学生が6人もスーツを着ておこしになった。
ステージで大書を披露することとなった。
楽しみだ。
夜は安らぎのひととき。
一日の疲れがほどけゆく。
利尻のウニは濃厚で甘くて滑らかで、どうしようか。
向かいのカウンターから「ジャリ、ジョリ」と音がすれば
鱧。
そっと、夏が運ばれてきた。
今日の東京は雨の予報。
三線の唄を聴きながら南国気分でやるとしようかね。