12月のある冬の寒い日、思った。
「春になったら生家に行こう」と。
小学高学年まで生まれ住んだ場所。
春の陽気が訪れた昨日、チャリを飛ばして
実に32年振りにその街に向かった。
紅白帽に黒のアップリケで「C」のマークを
オフクロが縫い付けた広島カープの似非帽子を
被って登校した小学校。
宝箱のような駄菓子屋も
よく通っていた銭湯も、
毎日野球をしていた駐車場も、
いくつかの友人の家もない。
思い出を探すにはあまりにも時間が過ぎて街は変わった。
公園はあのころのままだ。
書道教室に行くといってはこの公園で遊んでいた。
そんな自分が今、書家などと名乗っているんだから人生おもしろい。
ここが俺の生家。
トタンの壁なんてレアでしょう。
裕福を知らない子供もいい歳になったものだ。
まだまだケリをつけなきゃいけないことも
まだまだ成長するべきことも
まだまだやるべきこともある。
温故知新。
一杯の飲んで、
明日に行け。